08.12.04

ヒール&トゥの理論と実践。

 クルマ好きの知人や後輩ちゃん達から、「ヒール&トゥって何のためにやるの?」
と聞かれることがあるので、今回は私なりにその意義や必要性を書いてみようと思います。

 「ヒール&トゥ」は、MT車のスポーツ・ドライビングに欠かせないテクニックですが、普通にシフトダウンをするとエンジンブレーキがかかり、シフトショックが発生しますね。
 ギュギューン…ガクガク、となるあの不快な現象です。
高回転までエンジンを回すような走行をしているとさらに強烈な回転差が生じて、最悪駆動するタイヤが「キャンッ!」とロックしてしまいます。(怖っ)
FF車ならフロントタイヤがロックしてアンダー、FR車ならリアタイヤがロックしてスピンの方向へ。
このエンジンブレーキを軽減してやるのが、ヒール&トゥによる回転あわせです。

 でも、理由はこれだけじゃありません。
コーナー出口で立ち上がる際に、エンジンのパワーバンドを活用するのが本来の目的です。
つまり、コーナーの立ち上がりでエンジンの最もおいしいところで脱出できるように、アクセルをあおって回転数を合わせてあげるわけです。
注意したいのは、あくまで操作はブレーキングがメインということです。
ラジアルタイヤで、しかも峠みたいな道路を走っている場合、コーナーに突っ込んでも良いことは無いので、きれいにクルマの姿勢を作りながら「立ち上がり重視」で運転するほうが安全だし、楽しく走れると思います。そんなとき、ヒール&トゥがきちんと出来ればロスが少ないかな、と思います。
「峠の走り屋はコーナースピード命!直線番長なんてカッコ悪いぜ!」なんて全然思いませんね、私ゃ。そもそもクルマは曲がるようにはできていないし。
いいじゃん、直線で速い方が高性能だし楽だよ!(笑)


 ヒール&トゥ応用編。
ついでに、FR車ではわざと後ろタイヤをシフトロックさせてドリフトに持ち込むこともできます。でも駆動系に負担がかかるからあまりオススメしません。雨や雪の日なら、多少は負担も少ないかもしれませんが、やっぱりクルマがかわいそうになります。
土屋圭市のビデオにもありますが、タイヤが「キャンッ!」と鳴かない程度の回転数なら、エンジンブレーキも利くしヨーを発生させてFR車ならアンダーステアの軽減になりそうです。

 最近はほとんど読まなくなりましたが、たまにCARBOY誌にリアブレーキの方を強化するクルマが登場します。どのクルマもフロントブレーキの方が効いていて挙動が前のめりになりますが、リアのブレーキを強化して、ブレーキバランスを前後均等近くに調整してあげると、車体が沈み込むように安定し、後輪にも負荷が分散されてコーナーリングの限界も上がるようです。
たまにAutoWorks誌にも登場する間瀬サーキットで激速のFCも、15インチのタイヤだけが特徴じゃなくて、じつはリアブレーキの方がローターが大きいんですよね。(ちなみに私は隠れファンです、スーパーナウ最高です!頑張って下さーい。笑)
 要は、ブレーキはフロントタイヤだけに依存しないで、リアのタイヤも活かそうというわけです。
だけれど、大きなキャリパーやローターに交換したりするようなブレーキシステムの強化って、かなりお金がかかるし、一般的ではないですよね。

 そこでまた「ヒール&トゥ」が活かせるのです!
(ただし後輪駆動車に限ってのお話です。)
ハイスピードからブレーキングをすると、前タイヤは目一杯働いているけれど、後ろタイヤがまだ思い切り駆動している状態です。するとプッシング・アンダーが発生しやすい状態になります。
そこで、後輪にシフトロック気味に負荷を与えてやると、つじつまが合うわけです。

 あとは…後ろから高回転エンジンのシビックが迫ってきたとして、ヘアピンあたりで減速、減速、かなり減速します。相手が後ろでパワーバンドが外れて困っているところで、こちらはちゃっかり回転あわせておいて立ち上がりでサイナラ〜。ってことも、できるかも知れません。ズルいですかね?

 私ゃそんなテクニックありません。(笑)
でもクルマの構造やドラテクの理論がわかっていると、普段からイメージをしながら運転できるので、クルマはもっと楽しくなりますね。
 ん〜…もしこれが出来なかったとしても、クルマの整備と同じ話で、別に出来ないからといって恥じる必要もないと思いますよ。私達はプロじゃないのだから。
ヒール&トゥができなくても街で困ることはないし、エンジンを吹かすと燃費にも悪いでしょ。だいいち、その辺を走っている人がエンジン吹かしていると恥ずかしいですよ。北関東の暴走族じゃあるまいし。(笑)

街乗りだったら普段は高めのギアで、曲がったあとにシフトダウンでも大丈夫だし。
それよりも、丁寧な半クラと、車両感覚を覚えたほうがいいと思います。





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